超短篇・500文字の心臓

作品募集(2018年12月16日更新)

第167回タイトル競作『ツナ缶』投稿方法

募集締切:2019年01月03日(木)



集計結果(2018年12月09日更新)

第166回タイトル競作『風えらび』集計結果

作品一覧



作品発表(2018年10月07日更新)

第166回タイトル競作『風えらび』作品一覧

選評締切:2018年月12月02日(日) →選評掲示板





タイトル競作 正選王受賞作品

 風えらび14 作者:水池亘

 夕暮れの陽の中、色とりどりの綿飴が並んでいる。黄、緑、紫……それこそ、無数に。僕はしばしあっけに取られた。お祭りってすごいなあ。感心しながら、僕は青色の綿飴を手に取った。でもお母さんが「青はやめなさい」と言う。どうして? 「青の綿飴は冷たい風で出来てるの。食べると体を悪くしてしまうわ」じゃあ赤色は? 「赤の綿飴は血の混じった風で出来てるの。食べると誰かに暴力を振るってしまうわ」そうやってお母さんは次々に綿飴を否定していった。店のおじさんは何も言わないでただぼうっと空を見つめている。じゃあ白色は? 「白の綿飴は澄み切った風で出来てるの。食べると同じ風になってしまうわ」やがて夕焼けが闇に消えてゆく。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 風えらび11 作者:瓜野

 大陸の端にある村には強い風が吹く。
 村で唯一の農作物はたわわに実る小麦。農家には必ず風車が一基、備えられている。
 風車がよく回るかは、その家の娘の器量による。
 一際強い西風の神の息子たちは面食いなのだ。軽薄な笑い声を伴って村中を吹き荒れ、特に気に入った娘のいる家の風車を戯れによく回す。彼らが好むのは棒きれのような肢体に細く長い金色の髪、まん丸な緑色の目。
 だから、アンヌの家の風車はそれほど回らない。
 どうしてもっと器量よしに生んでくれなかったの、と両親を問い詰めてもなんの意味もないことはもうわかっている。
 来る日も来る日も足りない風を補うためにアンヌは風車を回す。掌の皮膚は厚くなり、肩はがっちりと肉付き、より一層神に好まれる娘からは遠ざかる。しかし、それでもいいのだ。神の風が回しても、アンヌの腕が回しても、麦は挽けて、粉になり、パンになる。
 やがて大きな雷が落ちて、人と神は仲違いした。
 神の息子たちはとんと村を訪れなくなり、風はやんだ。村人は嘆き、悲しみ、大量の収穫を前に途方に暮れた。
 アンヌの家の風車だけが今日も変わらず回っている。