超短篇・500文字の心臓

作品発表(2017年01月14日更新)

第153回タイトル競作『P』作品一覧

選評締切:2017年月01月22日(日) →選評掲示板



作品募集(2016年12月29日更新)

第153回タイトル競作『P』投稿方法

募集締切:2017年01月09日(祝・月)



集計結果(2016年12月12日更新)

第152回タイトル競作『テレフォン・コール』集計結果

作品一覧





タイトル競作 正選王受賞作品

 テレフォン・コール13 作者:はやみかつとし

 ネットワーク経由で各地からフォンの香りを収集する。亜光速航法でも互いに往き来するのに数十年かかるほど広い範囲にコミュニティが散らばってしまったこの時代において、文化的相互翻訳可能性を維持する、これはそんな試みのひとつなのだ。香りの伝送ならば、解像度が比較的高くデータ量が嵩むといっても、量子通信で数時間あれば受信できるので全く問題ない。
 それにしても何故フォンなのか。われわれが食い意地の張った種族だから、というのも一つの回答だろうが、むしろ複数の由来のものを簡単に混ぜ合わせられ、しかもそこから新しい共通のものを引き出すことが容易だからだろう。これが言語作品や音楽ならそうは行かず、一瞬にして文化闘争になってしまう。私たちが求めるのは争いではなく調和、そう、美しく響き合った多数の声が織りなす合唱のような調和なのだから。
 さてそろそろ、かなりのコミュニティから情報が集まってきた。調合シミュレーションも始まっている。風味に新しい伝統を付け加える、至高のひととき。
 どこか星空の遠くでお腹の鳴る音がする。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 テレフォン・コール4 作者:よもぎ

朝。手の中でスマホが震える。『彼』からだ。
「おはよ。そろそろ起きて。いい天気だよ」
返事はしない。けれど『彼』の声で気持ちよく目覚める。
通勤電車の中。イヤホンで聴く『彼』の声。
「今日は11時からミーティングだね。19時には「ボーノボーノ」で女子会だよ。楽しんできてね」
返事はしない。けれど『彼』が私のことをわかっていてくれるのがうれしい。
昼の休憩時。ミーティングで叱られた。『彼』にコールする。
「大丈夫。ボクがついてるよ」
返事はしない。けれど『彼』の声を聴くとヘコんだ気持ちが楽になる。
退社後。『ずいぶん歩いているけど大丈夫?ボーノボーノの場所?OK!ボクが案内するよ。まかせて』
おかげで無事到着。お礼は言わない。けれどいつも私を見守っていてくれる『彼』。

そんなスマホアプリが流行っているのだそうだ。GPS、ナビ、スケジュール管理、検索サイトなどと連動し、自分の好きな声優の声で、状況に応じてボイスメッセージを随時送ってくる。かくして彼女は常にスマホを持ち歩き、『彼』の声に癒され助けられて日々過ごしている。これは『彼』に恋した一人の女性の物語。