超短篇・500文字の心臓

集計結果(2016年09月21日更新)

第150回タイトル競作『夢の樹』集計結果

作品一覧



作品発表(2016年08月30日更新)

第150回タイトル競作『夢の樹』作品一覧

選評締切:2016年月09月11日(日) →選評掲示板



作品募集(2016年08月06日更新)

第150回タイトル競作『夢の樹』投稿方法

募集締切:2016年08月21日(日)





タイトル競作 正選王受賞作品

 夢の樹16 作者:はやみかつとし

 あなたがその樹に夢見られているとき、枝という枝の先すべてにあなたが灯る。すべての時の突端に立ち、世界に対して露わになる。
 時は、目に見えない速さで膨らむ。樹は世界をまるごと飲み込みながら、しずかに育っていく。すべてのあなたが、一つの眠りを眠る。



タイトル競作 逆選王受賞作品

夢の樹4 作者:笛地静恵

 僕は長虫蛇取りに山に入った。気がつくと、帰り道がわからない。沢に下りると三等兵がいた。先の大戦の強化兵だ。身体の半分以上が機械だ。色の褪せた軍服を着ている。無数の紋黒蝶が、彼に群がっている。その蝶たちに敬礼をしている。直立不動。僕が近寄って行くと、獲物は逃げてしまった。「ぼうず、どうじで、ごんなどころに、ぎたんだ?」言葉に濁点がついている。道に迷ったという話をした。夢木村まで連れて帰ってくれるという。子どもたちは、いつも三等兵を馬鹿にしている。石を投げたこともある。悪いなと思った。途中で太郎桃の実をくれた。喉の渇きがおさまった。長雨で山崩れの場所に出た。「ごごは八目鰻人が、あぶない。ぎをつけろ」敵国が送り込んだ生物兵器だ。人血を吸う。斜面の土が動いた。土中から八つの眼がこっちを見ている。三等兵は桃を投げた。八目たちが摘まみ上げた。目を細めている。うまそうに食っている。「逃げろ」三等兵が叫んだ。手を引っ張られた。飛ぶように走った。「ごごからは、わがるだろ?」いつのまにか、村はずれの葛橋のたもとにいた。一番星が光った。三等兵がやさしく笑った。両手をばたばた動かした。