超短篇・500文字の心臓

作品発表(2018年08月14日更新)

第164回タイトル競作『明日の猫へ』作品一覧

選評締切:2018年月08月26日(日) →選評掲示板



作品募集(2018年07月19日更新)

第164回タイトル競作『明日の猫へ』投稿方法

募集締切:2018年08月5日(日)



集計結果(2018年07月11日更新)

第163回タイトル競作『ぺぺぺぺぺ』集計結果

作品一覧





タイトル競作 正選王受賞作品

 ぺぺぺぺぺ2 作者:

 雪の上に、見慣れない足跡がある。いや、本当に足跡なのかどうかはわからない。しかし、ひとまず足跡と呼ぶのが適切な気がする。
 「ペ」と読める。カタカナか、ひらがなかは、わからない。
 それは等間隔で続いている。追いかけようかと思ったが、隣家の畑の上を歩くことになるのでやめた。

 夜道、後ろから聞き慣れない足音がする。「ぺたん」でも「ぺこ」でもなく、ただ「ペ」だ。
 いつかの冬、雪の上に見た足跡の主だろうと思う。この音は「ひらがなだ」と、わかる。
 振り返って姿を見てやろうと思ったが、途端、右へ曲がってしまった。隣家の畑の方角だ。矢張り、あの足跡の主だと確信する。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 ぺぺぺぺぺ12 作者:森野照葉

『母、危篤。ペペペペペ』
 その手紙が届いた翌日の朝、私はパパにその手紙を見せて言った。

「ぺぺぺぺぺって何?」

パパは何も言わずに私の手を引いて車に乗せた。自分は運転席に座って車を走らせ、母との思い出を語り始めた。

「母さんはパターが上手かった。穴にボールが吸い寄せられるみたいに、とても上手にパターを打った。パッティングの名手である母さんに対して僕はね、球子。ペッティングの名手と呼ばれていたんだ」
 「は?」
「まぁ、結果的に僕のアイアンが母さんのホールに吸い寄せられて、ワンしたわけなんだけど」
 「ちょっと止めてよ」と私は父の言葉を制した。「どうしてそんなことを言い出すの?」

父は真剣な表情で「ぺぺぺぺぺはね、5本のクラブと5本のゴルフボールのことさ。母さんは僕にずっと内緒にしていたんだよ」
 私は呆れて言葉も出なかった。車は名の知れない森を走っている。父は何かを悟った様子で、
「もうすぐ僕と球子も天国にホールインワンだ。その前にね、球子。君は僕の本当の娘じゃないんだ」
 ふいに体が軽くなった。車が宙を飛んでいる。
「私は何人目?」
 父は、じっと海面を見つめて、
「四人目の子だ。球子、母さん、浮気してるぞ」  ぺぺぺぺか。