超短篇・500文字の心臓

集計結果(2017年03月16日更新)

第154回タイトル競作『かわき、ざわめき、まがまがし』集計結果

作品一覧



作品発表(2017年02月27日更新)

第154回タイトル競作『かわき、ざわめき、まがまがし』作品一覧

選評締切:2017年月03月8日(水) →選評掲示板



作品募集(2017年02月10日更新)

第154回タイトル競作『かわき、ざわめき、まがまがし』投稿方法

募集締切:2017年02月19日(日)





タイトル競作 正選王受賞作品

 かわき、ざわめき、まがまがし14 作者:五十嵐彪太

 手押しポンプをいくら押しても、耳障りな金属の軋みが聞こえるだけだ。
「もう、その井戸は枯れているよ」と、兄が言う。もう三十回くらい言っている。
「わかってるよ」と、これも三十回くらい答えている。
 兄の口調は一回目も三十回目ものんびりしたものだったけれど、私は自分の声がだんだんと刺々しくなっていることに気が付いている。
 日が沈んでも、私は手押しポンプを押し続けていた。もちろん水は一滴も出ない。
 けれどポンプを押したときの軋んだ音は、少し、ほんの少しずつ変わってきている。確かに。痛みに耐えるような、大勢の人たちの声。
「もう、その井戸は枯れているよ」兄の声が、ほんの少し震え始める。
「わかっているよ」私は声が弾むのを抑えられない。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 かわき、ざわめき、まがまがし13 作者:空虹桜

「今夜も『the 和 make it』! お相手はトニーと」
「アンナです。ねぇトニー。今日はどうmake itするの?」
「真窯菓子の『茶碗蒸し』で、和のPUDDINGをmake itだ」
「WAO!」
「まずは下拵えだ。材料・分量はこの通り。まず、鶏肉を小さめに切ったら、さっと熱湯をかけ、塩ひとつまみを揉み込んでくれ」
「OK。トニー。Sweetsなのにお肉を入れるのね」
「これぞ、fantastic和!他にも、椎茸と百合根、三つ葉を切って、海老を塩茹でする」
「『百合根』ってcuteね」
「THE和って感じだね。OK。次に、アンナは卵を溶いてくれ」
「どれぐらい溶けばいいの?」
「日本人の肌色ぐらいかな。ハハハ。僕は窯の火を熾して水を過沸きさせるよ。そして、冷ました出汁に醤油と塩を溶かして混ぜるんだ」
「トニー、もう疲れた。これぐらいでどう?」
「GOOD! じゃあ、僕は調味した出汁とあわせて一度漉す。アンナは茶碗に下拵えした具を盛ってくれ」
「宝物を埋めるみたい!」
「漉した卵液をそっと注いで蒸すんだけど、残念。実食は明日にお預けだ。SEE YOU!」