超短篇・500文字の心臓

集計結果(2017年10月19日更新)

第158回タイトル競作『出てって』集計結果

作品一覧



作品発表(2017年09月25日更新)

第158回タイトル競作『出てって』作品一覧

選評締切:2017年月08月20日(日) →選評掲示板



作品募集(2017年09月09日更新)

第158回タイトル競作『出てって』投稿方法

募集締切:2017年09月18日(月・祝)





タイトル競作 正選王受賞作品

 出てって13 作者:テックスロー

 テレビの真横でもなく、カーテンの近くでもなく、かといってテーブルの脇というわけでもない、リビングなのに何か死んだ感じがする場所に鬼が立っていた。女の私より少し低く、目はかっと開いたまま。形相は恐ろしいがこちらに近寄るわけでもなく、開きっ放しの目がだんだん滑稽なものに思えてきたのでとりあえずテーブルに着くよう促した。
 椅子に座る鬼を背中に、はてさて何をと冷蔵庫を開け、少し迷って冷奴を出した。鬼は表情を変えずに豆腐を見、やがて一口で平らげた。食べるんかい、と驚いて、次の日は激辛麻婆豆腐を出したがそれも食べた。その後も味噌汁、豆乳スープ、大豆ハンバーグ、豆大福などを出したがすべて食べた。納豆を出した時には少し嫌そうな顔をした、気がした。しまった、さすがに露骨すぎたかと思ったが結局食べた。今日は熱々の湯豆腐。表情は全く変わらないのに熱そうなのが分かるのが不思議だ。明日は二月三日。もう遠慮はいらないぞ、と戸棚にしまってある、バケツ一杯はあろう炒り豆を思い浮かべて私は少し震えた。



タイトル競作 逆選王受賞作品

 出てって9 作者:脳内亭

 はな唄部・くちギター課では今、ジャカジャン派とデデッデ派とによる派閥争いが激化している。すでにヨウオン氏とハツオン氏はジャカジャン派に、ソクオン氏はデデッデ派にそれぞれ取り込まれた。残るダクテン氏にとっては実に頭の痛い事態である。
 ダクテン氏は「心まで濁らせず」を信条とし、元より争いは好まない。だが両派にとってダクテン氏は不可欠な存在であり何をもってしても獲得すべしと双方せめぎ合っている。己の所為であるのかとダクテン氏は思い詰めたが、そんな氏の憂鬱をなぐさめてくれる唯一の存在が、ハンダクテンの君であった。
 そうしてついに、業を煮やした両派から詰め寄られ、「どちらにもつく気がないなら、即刻ここから失せろ」と罵られたダクテン氏は、翌日その言葉どおりに姿を消した。
 結果、シャカシャン派もテテッテ派も気のぬけた炭酸のようにもはや争う力も格好も失い、双方ともあっけなく解散してしまった。
 自らが去ることで争いを終わらせたダクテン氏であるが、今どこで何をしているのかはわからない。噂では、共に消えたハンダクテンの君と仲睦まじく、ビバップを奏でているとも、ドゥワップをくちずさんでいるとも。