1st Match /
銀の鈴
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銀鈴ねえさんの「銀の鈴」言うたら祇園で知らんもんはいいひん。なじみのだんなさんから名前にちなんでもろた言うて、簪につけてお座敷のたんびに披露しやはるのはいいんやけど、舞を舞うときに必ずすっ飛んで、みんなで大騒ぎで探さんとあかん。 |
朴さんは窯を見つめながら静かに口を開いた。 |
2nd Match /
ひなげし
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ひなげし座の公演がはじまる。ひらひらと蝶が舞い、ヘビがぎこちなく伸び縮みする影絵を、ぼくはあくびしながら眺めている。 |
見知らぬ男と手錠で繋がれている。何とはなしに手錠を手で引いてみると、鎖がぴんと張り詰める。男も同時に引いているのだ。こちらが緩めれば、緩める。手を上げれば、上げる。振れば、振る。間を開けていきなり力を入れたりしてみるのだが、男は何度でも合わせて来やがる。 |