1st Match / マメ |
> そおーんなにちっちゃなからだで |
> シカゴ穀物取引所の相場が明日のカウボーイたちの飯に影響を与えている、という |
2nd Match / ねじれの位置 |
> 昔、一ヶ月に一回映画館を育てるための特別上映があった。 |
> ぼくらは人形のミミとピピで、でも一体のマリオネットの右手と左手に思いつきで |
3rd Match / 煙突 |
> 廃棄物を焼却する施設の煙突は赤と白の縞模様。発生する熱で隣の市民プールに温水 |
> 船長は勇気を振り絞って喇叭を取り出した。深呼吸をして高らかに吹きならす。す |
4th Match / サイコロとステッキ |
> サイコロ ころころ 転がって |
> 宇宙船地球号の一室に、テーブルと乗組員四人が宙に浮いていた。 |
5th Match / ごめんね、さよなら |
> 僕はぴったりと彼女に寄り添い、耳元で囁く。 |
> ポンとける。 タンと返る。 |
6th Match / きゅっきゅっ |
> 待ってよう。 |
> 学年末のクラス全員でやる 恒例の大掃除は、毎年決まって、はかどらない。 |
7th Match / きみの知らない場所 |
> 今日も僕(私)たちは一緒に眠る。今日はあそこへ行けるのか。ふくれあがる期待 |
> テレビの画面を眺めながら、機械的にポテトチップスを口に運んでいた息子の手が |
8th Match / A to Z |
> アフリカにはバナナをコントロールすることができるドクターがいるらしい。それ |
> 1匹のガマガエルが本を読んでいた。真っ赤な夕日を頼りに眺めていたのは「たの |
9th Match / なないろ |
> 油絵具でざんざん。ナナがキャンバスに鈍色を塗り込める。針金でこつこつ。ナナ |
> 「ねぇ、ねぇ聞いてる?」 |
10th Match / 辞書をたべる |
> ふたりはナイフとフォークを握っている。でも使わない。ナイフとフォークを立て |
> デスクの上には、見慣れた筆遣いで書かれた封筒が置かれていた。それを裏返さず |
11th Match / 風船ジャック |
> 噂には聞いていたが、彼女が赴任したクラスは死に絶えた森のように静かだった。 |
> 僕の手首にロープを結わいつけてジャックは言った。 |
12th Match / なりそこないの鳥 |
> あの日、ヤツは墜ちていった。目の前で。この海に。 |
> 彼の背中には金色の羽根が見える。僕はしがないマネージャー。スターになる子には |
13th Match / 春に降る雪なら桜の枝に |
> なみだ? |
> 天使の卒業式。 |
14th Match / 黒く塗れ |
> 明かりの漏れる木戸から路地を出ると、そこは両側黒塗りの板塀が続く道だった。変 |
> 僕はリンゴを投げ捨てた。 |
15th Match / 雲をつくる |
> 窓からこんにちは。窓際に寄せてわたあめみたいな雲を停める。 |
> 雲作りの少女が触れる白色は何でも雲になってしまう。だから雲作りはできるだけ |
16th Match / タイムマシン |
> 私の大好きな人は、タイムマシンの研究をしていた。 |
> 実家の押入れを整理していたら、数枚のジャズレコードと共に古いレコードプレイ |
17th Match / 花の音 |
> 蓮の花から爆音がするなんて迷信だよ。蓮の音はね、空間を満たすだけさ。色でい |
> 終電で帰って軽い食事を終えたら熱があった。水枕も床も自分で用意しなければな |