500文字の心臓

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短さは蝶だ。短さは未来だ。

 白白白 作者:水池亘

 それは確かに大福なのだった。仲良く三つ並んでぴょこぴょこ跳ねている。白い皮に、白い粉化粧。妙に人なつこいそれらを私は飼うことにした。日曜の夕暮れ時のことだった。
 それらとの同居を私はしばらく楽しんでいたが、ある日うっかりひぃの表皮を傷つけてしまった。葱を刻む際にいきなり飛び込んできたのだ。見えた中身は、黒くなかった。白餡の大福だったのだ、実は。となると、ふぅとみぃの中身が気になる。もしかしたら、それらも……。私はそばにいたふぅを拾い上げ、両手で二つに割った。やはり、そうだ。私ははみ出た白い粘体を指の腹ですくい、舐める。間違いなく、ただの甘い白餡だ。
 そのまま私はみぃに手を伸ばそうとして、しばらく思案し、止めた。それから何日も経っている。折角知り合えた友人を失うのが怖いのか? いや何のことはない。私はこの期に及んで黒餡が出てくる不合理が怖いのだ。代わりに先程苺大福を買ってきた。これなら心配はない。必ず苺が入っている。必ず。私は赤く柔らかいそれにかぶりつく。その瞬間をじっとみぃが見ている。