うめえよ1
俺が大釜の爺さを助ける!
俺は広い世の中へ飛び出した。
けど、大釜の爺さの封印を解くなんてどうしたらいいんだろう。
俺ぁ爺さの釜底の煤から生まれたちっぽけなススダマだ。
村ん衆みんなの芋汁をいっぺんに炊ける大釜の爺さに比べたら、屁みてぇなもんだ。
けど爺さは偉ぇ坊さまに札を貼られちまった。
爺さが大釜から毒を吐いたって。
そりゃ仕方ねぇよ。
大釜の爺さを化け物にしたのは村ん衆だ。
戦や飢饉で喰うもんがなくなったとき、村ん衆は大釜に毒づいた。
その毒がたまりにたまって大釜の爺さから溢れ出したんだ。
けど爺さは悪くねぇ。絶対悪くねぇ。
俺は何十年も何百年も風に吹かれてさすらった。
「みなさんの給食はここで作られています」
「すげえ!でっけー鍋!」
「これは回転釜です。煮物や汁物を作るときに使います」
「先生!なにか黒いものが付いてます」
「あら。じゃ、いつものお礼にみんなで磨いてあげましょう」
なんと子供らに見つかっちまった。
釜のあちこちを逃げ回ったが、子供らはすぐに俺を見つける。
俺ぁ拭き取られて、釜はピカピカに磨き上げられた。
すると『ありがとよぉ』
遠くで爺さの声がした。封が?これで?解けたのか。
爺さがやってきた。『儂らもちょっと喰ろうていくか』
「手を合わせてください。いただきます」
「いただきます!」
『あぁ、子供らの笑う顔を見ながら喰う飯はええなぁ』
爺さと俺ぁ満ち足りて天へ昇った。
うめえよ2
母さんの作ったカレーが一番と言い張る父の前に、今度こそはと皿を置く。
「こんなもんだろ?」
だが、無情にも、父はひとくち頬張って、首を振った。
「全然足りねえ」
小学生の僕は、母の横にまとわりついて味見役をしていた。手順は完璧に覚えている。
カレールウは、三十年前からのロングセラー。肉は一番安い豚こま。早く煮えるように具はみじんぎり。父を手伝って商売をしていた母には、隠し味や下準備の時間なんてなかったのだ。
「絶対におんなじ味だよ、父ちゃんが、母ちゃんの思い出を美化しすぎてるだけ」
「てやんでえ。おめえの料理が、いつまで経ってもへたくそなんだよ」
と文句言いながらたいらげて、ぷいと新聞を読み始めた父の背中が、笑いを抑えるように少し丸くなった。
それから20年後、娘に亡き妻の得意料理を作らせるようになって、ようやく気づいた。
親父、うめえよ。
うめえよ3
九月。牧場にて。
やっぱりソフトクリームを食べると言い出した友人と離れ、そのまま歩いていくと、ヤギが三頭、もくもくと草を食んでいた。愛らしいものだな、と思って遠目で見ていたら、その中の一頭が頭を上げ、鳴いたので、意外性のあまりつい、じっと見つめてしまった。
ヤギのほうも私に気づいたらしく、頬をうっすらピンク色に染め、ああ、食事の最中を見つめるのも悪かったかと思い、聞こえないくらいの声で失礼と謝って、ソフトクリームを食べる友人のほうを見に行くことにした。
うめえよ4
『この先、渋滞が発生しています』
「じゃあ、抜け道検索頼む」
『わかりました』
先程買ったカーナビを取り付けてもらい、早速ドライブに出掛けてみる。加速度センサーや人工知能が付いた最新型だ。
『次の信号を右に曲がって下さい。その先しばらく道なりです』
俺はナビを試すため、わざと信号を左に曲がってみた。
『んん、もう。右だって言ってるのに』
おっと、店員さんに勧められるままツンデレを基本モードにしてたんだっけ。面倒臭いからモードを変えてみるか。
「アゲアゲモードに変更!」
『あいよ、再検索するぜ旦那』
威勢のよい男性の太い声が車内に響く。
『狭めの市街地と、気持ちの良い広域農道、どっちがイイ?』
「もちろん農道で」
『じゃあ、次の信号右な』
やっぱりナビはこうでなきゃ。
気分が良くなった俺は、小刻みに繰り返すカーブで軽快なハンドル捌きを披露する。
『すげえな、旦那』
ほお、さすがは新型。加速度計測も正確らしい。
「そうだろ?」
『運転うめ……』
その時だった。ガタンと段差による衝撃でフリーズしてしまったのは。
なんだよ、いいところだったのに。
そしてリセットされたナビが続けたのは――
『意外と上手いじゃない』
ツンデレも悪くないか。
うめえよ5
瓦礫を堆く積み上げている男がいる。男は塔を造ろうとしている。どこよりもいちばん高い塔を。壊れた街の瓦礫を拾い集め、天に向かって高く高くそれを積み上げていく。
神が現れ、おまえにとってそれはどういう価値をもつのかと尋ねる。価値だって。男は哄笑する。そんなものに意味はねえ。おれは誰よりも高い天辺を目指すだけよ。それなら、と神は応じる。それがおまえにとっての価値なのだろう。
男の通ったあとは瓦礫が綺麗に片され、大きな穴が次々とできていく。妖精がやってきて、その穴に絵具を落としていく。彩色された穴はあちらへこちらへと増えていき、やがて元あった街を埋め尽くす。
男はその美しい穴には興味がない。街のはずれに残っている瓦礫を追い求めてさまよい歩き、己の塔をさらに高みへ高みへと積み上げていく。
妖精が大挙して羽ばたき、突風を起こす。不安定に積み上げられた塔はあっという間に無数の穴のなかへ崩れ落ち、色を纏って地を飾る。極彩色の埋め絵でできた街が現れる。
男は塔とともに散り、神は祝福を告げた。
うめえよ6
あら、いやですわ、おほほ、変な顔をなさらないでくださいまし。不思議に思っていらっしゃいますのね、コップ。中身はジュースですのよ、普通の。おやまあ、お飲みになりませんの? どうしたものかしら。いえね、ジュースですのよ、普通の。それなのに、お飲みにならないだなんて。おほほほ。おかしいですわね、まったく、本当に。ご心配いりませんのよ。あら、そんなに不思議ですかしらね、コップ。どうしてなのかしら。ジュースはお嫌い? いえいえ、中身はジュースですのよ、普通の。おほほほほ。どうかお気になさらないで下さいましね、コップ。
こうして念入りに申しておりますのはですね、ジュースを召し上がっていただきたいから、ただその一心からなのでございますのよ。本当にそれだけ。それなのにご遠慮なさるだなんて! 一体どういうんでござんしょ! 一体どうしたらようござんしょ!
そうですわね。きっと、そうですわね。コップのせいなのね。きっとそうよ。そうに違いありませんわ、コップなのね! コップなのね! そうなのね!
いいえ、ですがね、中身はジュースですのよ、普通の。さあさあ、お飲みになってくださいまし、さあ! どうです、お味は? おほほほほほ。
うめえよ7
汗でバッシュが滑って、ぶつかって、笛が鳴って、そんでまた、フリースローレーンへ。
「外れろ」と願うのはとっくに諦めてて、「田舎の中学のクセに選抜いるとか、ハンデつけろよ」なんて、アップん時の愚痴を思い出す。
ヤツは何度か床で弾ませて、綺麗な音がして、今度は何度か床で弾む。
ウチのセンターは、審判より先にボール取って、ヤツに渡す。
教科書みたいなキャッチ。床で弾ませて、繰り返し。放物線が勝手に焼き付く。オッサンなったら、「アイツとバスケしたんだ」とか言い出すのかな? とっくにアイツは忘れただろうワンサイドゲームを。だっせー
意識しないで回したパスがギリ通って、でも、ウチのガード馬鹿だから、やっぱライン踏んで、ただのロングシュートをリング掠らせもしない。苦く微笑むから一瞬ムカッとして、俺、案外バスケ好きだったんだなぁって気づく。
なんでアイツみたいになれなかったんだろうなぁ。
なんで今のパス、適当に回しちゃったんだろうなぁ。
時計を見ると、あと15秒。
ヤツのベネトレイト、ラスト一本、止めてみてぇ。
うめえよ8
「手、出してみ。」
叔父は差し出された砂まみれの手を見て、僕をひょいと小脇に抱えて海に入った。
「ほれ、ぱしゃぱしゃ」
「ほれ、落とすなよ。」
何かが叔父の手の中から僕の手に移された。慎重に折りたたんだ指の隙間からはよく見えない。
「うめえよ、くってみ。」
叔父はニカッと笑った。生来意地汚い僕だが流石に躊躇して、同じ高さにある叔父の顔を探るように見る。
「密漁なんだ。内緒だぞ。」
叔父は僕の耳に口をつけて言うと、辺りを窺い、僕を抱えていない方の手で早く口に入れろとジェスチャーをした。
母の弟である叔父が入院中の病院から連絡があって、両親を車に乗せて向かう途中、初めてこの話をした。両親は叔父が僕を海に連れて行ったことも覚えていなかった。僕がちゃんと覚えているのも「うめえよ」(僕は当時「うめえよ」がそれの名前だと思っていた。)「密漁」「内緒」のキーワードで、後はどこまで本当か自信が無い。
「この子と海に行ったんだって?」
母の殊更大きな声も叔父に届いているのか分からなかったのに、医師の説明を聞くために部屋を移ろうとした時、叔父が絞り出すように言った。
「俺も、うめえよ、食ってみてえ。」
子供の口には合わなかったよ。
うめえよ9
介護老人保健施設、通称老健は退院を前提とするリハビリ用介護施設だが、特別養護老人ホーム、通称特養が満室で、全国で何十万人も空き室待ちの現況から特養代わりに老人が詰め込まれている。一年以上入所してるのもざらで社会問題になってる。
ミネ婆は老健で『看取り』と決まった。身寄りもなく、最後はここで迎えたいと申し出たのだ。食事を居室に運んでも「た食べとうない」「もう堪忍や」と拒むミネ婆に俺は(本当にここが終着地でいいんですか)と詰問したい衝動に駆られてしまう。
病院より低額で入院(入所)出来る便利な施設。俺ら職員は無資格も多いし人件費も安く業者にうまみが多いからグループホーム、サ高住等もどんどん増設されてる。人手不足には外国人補完計画が国策で進められてる。安い命。俺は家で焙煎したごぼう茶をミネ婆に持ってってやる。「これな、うちで作ったやつですねん」ミネ婆は震える手で吸い口を掴む。
居室のテレビには国会前が映し出されて、多くの民衆がプラカードを手に群がっている。「50袋200円の麦茶よりは味がついてるやろ?」ナースからは支給品しか出すなと命じられているが飲まないしな、と俺は開き直る。一口飲んだミネさんは「ご牛蒡の香りがして、飲みやすいな」と言った。震える両手の下に俺は手をあてがう。傾いた吸い口から、焦げ茶色の水分200ccがミネさんの炎症で爛れた喉をゴブゴブと通り抜ける。
うめえよ10
夏と秋のあわいに、ふらり立ち現れては、ふいと去っていくんだそうで、この時分に未練があってのことかそうでもないのかそれは当人以外には推し測るくらいのことしかできない実体のない面影である。
もしかしたら、と心当たりを持つ者もいたとして、誰のもしやが正解なのだか知るよしもなし必要もないんだろう。
がんばったからって上手にいくとは限らない。そりゃあアタシだって分かってる。分かっちゃいるけど求めちゃうんだもの。勝手に傷付いて、噛みついちゃいそうだ。彼が口を開きかけるけど嗚呼きっとちがう噛みついちゃいそうだ。
件の影が、ふいに現れて置いてった言葉はアタシにであってアタシにではない。
呆気にとられたアタシたちに興味を無くしたようにふらり立ち去る。
「ウン、うまい」
「…ありがと」
アタシたちに未来は見えないけど。
うめえよ11
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うめえよ12
「わたくし不器用なんですが」
そう言って娘がかかげた箸の先にはらっきょが二つ並んで挟まれていた。それを見た父は一言。
「すげえよ」
「残念。パパそれちょっと違う」
「あれ?」
父が傍らに置いてあった携帯を手に取ろうとするのを見て娘はそれを止める。
「すぐに検索しちゃダメだよ。自力で思い出さないと脳は老化しちゃうんだから……ってもう! らっきょ落ちちゃったよ!」
「ごめんごめん。えーと……上手だよ」
「さっきより離れてるっていうか、もう一回らっきょつまめてからお願い」
するとキッチンの方からカレーの匂いと共に母の声。
「ちょっと! 遊んでいるなら手伝って。ご飯の量どのくらいー?」
「今行くー! ちゃんと自力で思い出してねっ」
「頑張るよ」
パタパタとスリッパの音がリビングとキッチンとを何往復かした後、娘は父の顔を覗き込む。
「どお? 思い出した?」
「ハイハイ。そういうのはご飯の後でね」
母の号令のもとディナーが始まる。カレーを一口食べた父は一言。
「美味しいよ……じゃないな」
この「じゃないな」を母にしつこく怒られた父が正解を思い出すのはそれから15時間後のことだった。
うめえよ13
(都合により削除しました)
うめえよ14
しょうがないんだ。
あいつのことは皆好きだ。話せないが言った通りよく働くし使えるし何よりいい奴だ。子供らもすごく懐いてる。
でももう隠しておけない。何年か振りの視察。不審に思ったんだろうな、きっと。ウチらのは出来が良すぎるって。
バレたらただじゃ済まない。子供らは特に。逃がそうって話も出たけど…でも。
それに捕まったら酷い目に合うんだ。だったらウチらの手で。それがせめてもの…な。
蔵に残ってたのを使う。そう、ウチらには利かない。昔見たんだ、これを口にしたあいつの仲間…。子供らには見せたくない…一瞬だけどな。
夜、大人だけで宴をした。今迄よくやってくれた労いを込めて。これからもって言いたかった、ほんとは。
「だめーーッ食べちゃッ」
突然なだれ込む子供ら。好物を頬張るあいつに叫びながら飛びつく飛びつく飛びつく。
「うめえよ」
え?喋れたんだ、お前。
子供らが鈴生りになってるのがなんか可笑しくて、皆笑った。
「ほんとーー?」
「うんうん」
うなづきながら子供らをそっと下ろしていく。女達が子供らを寝かしつけに出て行った。
なんだ、もう無効になってたのか?ああしょうがないな。
取り敢えず「お代わりどうだ?」
もう答えなかった。
うめえよ15
「今日はカレーよ」
妻がそう言ってから、4ヶ月が経つ。
「ちょっと辛さが足りねー気がするなぁ」
4か月前にそう言ってしまった俺が悪いのはわかってる。
いつもの食事とは別に、つぎ足しつぎ足し作り続けられているカレー。
今、妻が混ぜている鍋からは、カレーっぽい匂いは、もう、しない。
魔女の何やらのその様に、ボコボコと紫色の液体が見えている。
どす黒い赤色の液体の入った瓶を握りしめ、妻がつぶやく。
「さあ今度こそ、これで完成だわ」
何としても、今日で終わりにしなければ。
どんな味だろうとも、言わないと。あの言葉を。
うめえよ16
「ごめん、急ぎの仕事が入ったの」
彼女と会う約束の日の朝、断りの電話が来た。
「えぇーっ。でもまあ、仕事じゃ仕方ないわな。何の仕事?」
「『ピーベリー』のコラムのイラスト」
正直驚いた。知らない人はまずいない、有名なファッション誌だ。
「すごいな、超メジャーじゃない」
「埋め絵よ、う・め・え。別にあたしの絵じゃなくてもいいの」
なんでも本来のイラストレーターが体調を崩し、
彼女にお鉢が回ってきたらしい。
「でもそんなメジャー誌に載ったら、一躍有名になったりして」
「ないない」
電話の向こうの苦笑が手にとるように見えた。
「とにかく今日はごめんね。今度埋め合わせするから。じゃあね」
一方的に電話は切れた。
デートをキャンセルされたのに、僕は一人でわくわくしていた。
翌月、彼女のイラストが載った『ピーベリー』が発売された。
そこで注目された彼女は一躍有名に!という奇跡は起こるはずも無く、
何事も無く日々は過ぎた。
翌々月、イラストのギャラが入ったそうで、
彼女は僕の好物の、山椒亭の鰻を奢ってくれた。
鰻丼を頬張る僕を見て、笑いながら彼女は言った。
「どう、美味しい?」
「うん、すげぇうめえよ」
うめえよ17
登山中、不注意で滑落してしまった。激痛で体が動かない。
ああ、あんなものが自宅のベランダに来なければと思うが後の祭り。脳裏に浮かぶ、ベランダにいる自分に飛んできた赤い風船の記憶はもしかしたら走馬燈かもしれない。風船には「山小屋」と書かれた袋が。走馬燈だろう。中には、何かの植物の種。もう、ここまでかもしれない。「山小屋」というのは差出人なのか、種の名前なのか。その答えを知るべく山に来たのだが……。
はっ、と気付くと空にいた。冷たい風で混濁から回復したらしい。
ゆっさ、と揺れていたので振り返ると、大きなヤギに首根っこをくわえられていた。不思議ともう体の痛みはない。
ただ、意識は再び……。
はっ、と気付くと近くで鍋が煮えていた。
「気付いたか? ここは山小屋だ」
知らない登山者が鍋を煮ている。体の痛みは不思議となくなっている。
「倒れてた横に肉の包みがあってな。目覚めたらごちそうしてやれと言ってるように感じて……」
それで目覚めを待っていたらしい。
「恐らく、ヤギの肉だ」
ふとポケットを気にすると山小屋の種はどこかに消えていた。
同時に、自分の首に「山小屋」と書かれた紙が絡んでいるのに気付く。
うめえよ18
鬼子ちゃんとつきあってかれこれ十年になる。そろそろ結婚をなんてまだ早いんだろうな。ともかくお父さんが気になるので家に行く。鬼子ちゃんが煮物を作って待っていてくれた。お父さんは、にこにこしている。
「鬼子のこれ、うめえな。こういう時しか食えないなんて、おめえの特別な材料にゃあ困ったもんだ。うめえ、うめえよ」
お父さんはこれが大好物らしい。すっぱい匂いがして、見えなくていいしっぽや皮が、ごった煮の汁の下から、強い弾性でぴょんぴょん飛び出す。
「おめえにはまだはええ。若造はな、青春すぎて自分が青臭いだろ。てめえのすっぱさで、これのすっぱさが、味わえねえのよ」
鼻をつく匂いだけで、舌がよじれそうだが、なんとか飲み込んだところで、眉間が酸味でしびれた。震えが止まらないのを、鬼子ちゃんが心配そうな流し目をくれる。鬼子ちゃんの手料理なんだ。お父さんと同じようにほめたいのに、震えすぎて、その一言が、言えない。青春なんて、大嫌いだ。