ヘリウムサイクル 作者:天原
ひさびさに自転車で出かけようと思ったら、タイヤがぺしゃんこになっている。空気を入れようとすると、
「いつもいつも空気ばっか食ってられっか」と自転車が言う。
「じゃあ、何を食べたいの?」と、わたしは尋ねる。
「ヘリウム」「ヘリウム」前輪と後輪が声をそろえて言う。
そんなわけで、わたしの自転車は走ると変な声を出すし、ときどきですが、浮くのです。
message in a bottle 作者:峯岸
波打ち際に空の酒瓶が落ちていたので自分の未来を中に詰め海へ抛ってみる。何度か戻されて来もしたのだけれど果たして波に乗れたらしく程なく俺の姿は見えなくなっている。