500文字の心臓

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短さは蝶だ。短さは未来だ。

 ハンギングチェア 作者:磯村咲

 この座り心地のよさでこの価格、買っちゃおうかなと滑らかな曲面に体を預けて揺ら揺らしていて、視界の端っこに常に浮かんでいる糸くずのようなものに気付く。選択してズームすると「重力は別売りです。」の文字列である。まあ、地球で使う分には問題ないか。



 ツナ缶 作者:miyuu2

「母さん、スーパーで福袋を買ってきたよ」
「そういえば、今日は初売りの日だったわね。今年もレアな缶詰、入っているかしら」
僕は、テーブルの上に福袋を置き開けた。
「お、干支にちなんで猪肉、鯨肉、アザラシ肉、最後に餅1キロ入り。あ、まだ入っていた。え、ツナ缶、軽いな」
僕は耳元で振ってみたが、音がしない。何も入っていないみたいだ。
 夕方になり、ツナ缶を開けてみた。
「母さん、これ見て。大当りって書いてあるよ」
「何、これ。面白いわね。何が大当りなのかしら」
僕は笑いながら、部屋に置きに行った。
 次の日の朝、僕は布団の中で初夢を思い出していた。
マグロが目の前に泳いできて、1つだけ願い事を叶えてやろうと、横柄に言ってきた。僕は異世界で冒険者となり、スキルを積んで将来は美味しい料理を出すレストランを開き、傷ついた冒険者達を癒したいと答えた。マグロは、請けたまわったと言って優雅に泳いで消えた。
 起きて昨日のツナ缶を手の平に置いてみると、蓋がパカッと開き小さなマグロが浮かんでいた。そのマグロがツナ缶の使い方を話し、僕は今、異世界に立っている。